【ブログ】不眠症~その2 睡眠負債について

2017年ユーキャン新語・流行語大賞でトップ10にランクインした「睡眠負債」。いったい何のことでしょうか?

睡眠負債とは

睡眠負債(sleep debt)の概念を提唱したのは、スタンフォード大学のウィリアム・デメント博士(1928年~)です。

現代社会では、多くの人が十分な睡眠時間を確保できない日々を送っています。この不足した睡眠時間の蓄積を「睡眠負債」と呼びます。負債という言葉が示すように、これは借金と同じように蓄積し、健康やパフォーマンスに悪影響を与えます。

一晩だけの寝不足や徹夜は睡眠負債とは呼びません。しかし、睡眠不足が何日も重なり、数日から数週間単位で慢性的な睡眠不足になると睡眠負債とよばれます。

例えば、必要な睡眠時間が7~8時間とされている成人が毎日1時間ずつ睡眠時間を削ると、1週間で7時間分の睡眠負債が蓄積されます。この状態が続くと、体調不良や集中力低下、さらには重大な健康問題に発展することもあります。


睡眠負債はすぐには返せず、貯金もできない

睡眠負債は、金銭の負債と同じように「貯金」ができない点が特徴的です。休日にまとめて長時間眠ったとしても、それまでに蓄積した負債を完全に返済することはできません。睡眠負債を解消するには、十分な睡眠を3~4週間取らなければ解消されないことがわかっています。これは、睡眠の質や体内時計のリズムが関係しており、一時的な睡眠の増加では長期的な影響を相殺できないためです。

さらに、睡眠負債が重なると、それを返済するのに通常よりも多くの時間と計画的な睡眠習慣が必要になります。また、あらかじめ「寝貯め」しても睡眠負債を防ぐ効果はありません。

つまり、睡眠は貯金できないため、日々の睡眠時間をしっかりと確保し、負債を蓄積しない生活を心がける必要があります。


日本は世界一の睡眠負債大国

国際比較において、日本は睡眠時間が非常に短い国とされています。OECD(経済協力開発機構)のデータ(2018年のデータ)によると、日本人の平均睡眠時間(7時間22分)は世界でも最も短い部類に入ります。最長は南アフリカの9時間13分、26カ国の平均は8時間25分です。しかも、年々睡眠時間は短くなる傾向にあります。このことから、日本は「睡眠負債大国」と言われるほど、慢性的な睡眠不足が社会全体に広がっています。

その背景には、長時間労働、通勤時間の長さ、社会的プレッシャーなど、日本特有のライフスタイルや労働環境が影響していると考えられます。また、デジタルデバイスの普及による夜間のブルーライト暴露や、夜更かしの習慣も原因として挙げられます。

睡眠負債が健康や経済活動に与える影響は大きく、個人の体調不良だけでなく、生産性の低下や医療費の増加といった社会的コストをもたらします。この問題を解決するためには、国全体で睡眠の重要性を再認識し、働き方や生活習慣を見直す必要があります。


まとめ

睡眠負債は、現代人が抱える深刻な問題です。蓄積された睡眠負債を返済するには時間がかかり、一時的な対応では不十分です。特に日本のような睡眠負債大国では、この問題を軽視することなく、個人レベルから社会全体での意識改革が求められます。

毎日の睡眠時間を確保し、質の高い睡眠を得る努力を怠らないことが、健康で生産的な生活を送るための第一歩です。

参考文献

  1. マシュー・ウォーカー『スタンフォード式 最高の睡眠』 (Matthew Walker, "Why We Sleep")
  2. OECD Data: Average sleep duration
    URL: OECD Data - Time Use
  3. 厚生労働省『健康づくりのための睡眠指針 2014』
    URL: 厚生労働省 健康づくりのための睡眠指針
  4. アメリカ睡眠医学会 (American Academy of Sleep Medicine)
    URL: AASM Official Site
  5. 国立精神・神経医療研究センター 睡眠プロジェクト
    URL: 国立精神・神経医療研究センター
  6. Journal of Clinical Sleep Medicine
  7. Newton 2019年8月号 (ニュートンプレス)

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